2023年5月24日、農業農村部は第5回国家農作物品種審査委員会設立大会において、「2023年農業植物新品種保護10大典型事例」を発表した。
永新が代理した【唐辛子「オードリー」品種権侵害行政法執行事件】は、この「10大典型事例」に選ばれた。
2021年8月、永新は済南市農業農村局(以下、「済南農業局」という)に、済南**種苗有限公司が許可を得ずに「オードリー」種苗を生産・販売し、育成者権を侵害していると訴えた。済南農業局が現場の法執行検査を行ったところ、同社の1号小屋に権利侵害の疑いがある唐辛子品種「オードリー」の種苗13.2万株が保管されていることがわかった。農業農村部植物新品種テストセンターの検査により、係争品種と「オードリー」が類似品種であることが確認された。済南農業局は、同社が許可を得ずに7.64万株のトウガラシ種苗を生産、5,600株を販売したことにより、育成者権を侵害したと判断した。その後、済南農業局は定植されていない7.64万株のトウガラシ種苗を不活化、埋め立て処理した。
2015年に改正された「中華人民共和国種子法」第73条第5項「県級以上の人民政府の農業、林業主管部門が植物新品種権侵害事件を処理する際、社会公共の利益を守るため、権利侵害者に権利侵害行為を停止し、違法所得と種子を没収するよう命じ、商品価値金額が5万元未満の場合、1万元以上25万元以下の罰金を併科する……」及び、「山東省農業行政処罰裁量基準(2019)」第1項種子、食用キノコ第2項、植物新品種権侵害の「商品価値金額が1万元以下の場合、1万元以上7万元以下の罰金を併科する」の規定に基づき、済南農業局は、違法所得6,610元を没収し、罰金50,000元を併科するという処罰決定を下した。
【典型的意義】本案は、基層農業行政法執行機関が多方面からのトレースを通じて、育成者権侵害責任を合理的に画定した典型事例である。本件において、農業行政法執行機関は、一部の種苗が育成者権者の許諾を得て販売する企業から購入されたことを確認し、当該販売行為は権利侵害行為に該当せず、相応する種苗の数量を権利侵害で訴えられた種苗の数量から除外した。権利侵害の種苗に対しては不活化処理を行い、違法所得の8倍近くの処罰を科し、市場競争秩序を効果的に守った。